「……そうですか、君がお嬢様に
 牛鬼のことを教えたのでしたか……」

こわがるユキちゃんがかわいくて、
ガキんちょのオレは話に尾ひれをつけて
おどかしたんだ。アニメで見た話も
混ぜたりして。

水の妖怪で、自分を殺した相手に乗り移る…
迫力のある妖怪図鑑のイラストと相まって、
幼いユキちゃんは相当に怖がり
泣き出してしまうくらいだった。
バカなことしたなあ、と今は反省してる。
できるもんなら、調子こいて
女の子をおどかすクソガキを殴りに
行きたいくらいだ。

「台風の近付くある夏の日のことでした。
 お嬢様は、家の者の目を盗んで
 遊びに行かれたのです。
 そこで何があったかはわかりませんが…」

「あちこち探しまわって、ようやく私は
 近所の川べりで倒れているお嬢様を
 見つけました。その手には
 男児用のシューズが片方だけ
 握られていたのです。
 お嬢様はその日から一週間、
 高い熱をお出しになり……
 
 目を覚まされたとき、すでに
 私の知っているお嬢様では
 なくなっていました」
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